時刻は午前の2時、塔邦学園会議室にて
何やらヒソヒソと話が聞こえる。密談だろうか…
「まったく…ウチの野球部は…」
「名門・塔邦の恥ですね」
「その上―――部内での分裂。これはどうにかできないか?」
「本当に…おや?」
コツ、コツ、コツ、と妖しく響く靴音
深夜に出てくるのはお化け、校内の廊下を歩くは鬼―――――
「お、来た来た」
「―――――遅れて申し訳ありません」
「いや、大丈夫だよ」
「それでは始めようか――――水崎(みずざき)君」その台詞が最期、刹那、バシュッと鈍い音が旋律のように空を切る
次に、2つの低い叫び声に呻き声
闇の黒は赤に塗られ――――――
鬼は電気のスイッチを入れた。此処で浮かび上がる鬼の正体
見た目は20代前半か、軍服らしき服装にズボンに繋がれたチェーン
ここで、やっと鬼は自分のした事に気づく
「あーあ…」
それは、まるで壊れた人形を見るような目で
「オレ…水崎(すいさき)なのに」
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